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ロウマッチの擦り方
■マッチとトイレの消臭

 「硫黄のバチッと効いているマッチありますか」というお客さんがいる。 中にはアメリカに持ち帰るという人もいて、「アメリカのマッチの方が硫黄分が多いですよ」と言っても日本で買う人がいる。

 何に使うのかというと巷に用便の後マッチを擦ると臭いが消えるという生活の智恵があるからだ。

 この件について、マッチの化学に詳しい金沢大学薬学部の米田昭二郎先生に伺ってみた、米田先生のお考えは次のとおりである。 (2010年2月現在)

“特に、臭覚は鋭敏であるとともに、心理的影響を伴う特性を持つといわれています。 発生源が特定でき、不快な汚物由来であると連想されれば、悪臭物質の実際存在量を超えて、その刺激が拡大されやすいと思われます。
 例えば腐敗した魚臭の成分の一つに「トリメチルアミン / N-(CH3)3」があります。 この物質は無色の気体で、水に溶けやすく、水溶液は弱いアルカリ性を示します。 この化学式を見ると窒素にメチル基(CH3)が3個結びついていますが、メチル基を水素に置き換えると「アンモニア / NH3)となります。 魚臭はアンモニアに毛の生えた代物でした。 鼻の粘膜に良く溶け、アルカリの性質を発揮し、臭覚神経を襲い、不快な糞尿を連想して耐え難い心理的影響を与えるはずです。
 ところで、登場した『安全マッチ』は神聖な点火具です。 ご承知のように、摩擦面(赤リンを含む)に軸頭を擦り付けた瞬間の発火温度は2500℃に達するといわれています。 極めて高い温度です。ここで瞬間的の起こる化学反応は初等化学で学習する領域を超えた、複雑な挙動をします。
 考えられるのは、硫黄、リンのほかに窒素分子の酸化を指摘できます。
 硫黄は(公害が叫ばれて以来、環境汚染物質とされて指弾されていますが、現在もマッチの成分として抑え目に添加されています) SO, S2O3, SO2, SO3; さらにS2O7、 SO4などの過酸化物としての存在も知られています。 しかし、瞬間的には参加の過程でそれらの遷移過程でもっと複雑な「SOX」の生成が明らかになってきました。 そして、酸素の結合が少ないほど「強い還元剤」となり、多いものは「酸化剤」の働きが現れます。 ご承知のように還元剤は家庭の漂白剤や食品の防腐剤として用いられています。
 リンも同じような瞬間的変化が起こっています。
 窒素は空気の成分として含まれていますが、これも「NOx」として、多様な変化を見せます。
要するに、確かに還元剤や酸化剤として瞬間発火温度の異常に高いマッチの消臭効果は説明できそうです。 しかし私はむしろ、心理的効果を優先すべきではないかと考えます。 以上に記した化学反応による生成物質の量(主に「SOX」、ついで「NOx」。 「リン」は無視しても良いと思われます)よりも、汚物由来の生成物質の量は桁違いです。
 一つは瞬間生成物質による、強い遮蔽効果。ついで鼻と接近した位置でマッチを擦って消臭効果を期待した人の心理的効果。 そして、実際の起こる生成物質による悪臭物質の分解効果などが複合して起こる『消臭効果』ではないでしょうか。
 参考文献:千谷利三著「新版 無機化学」、産業図書、昭和61.1.30.、23刷.p943-952.
      上野景平著「身のまわりの化学物質」、講談社ブルーバックス、1995. ”

黒田 康敬
2020年08月28日